日常遭遇する膝の疾患
◯側副靱帯損傷:スキーなどで下腿が外側に強制された際、内側側副靱帯が損傷されます。
◯十字靭帯損傷:バスケットボール等での着地時、脛骨上端に前内方に向かう力が加わると前十字靭帯に強い負荷
がかかり損傷します。また、後方に強い負荷がかかると後十字靭帯が損傷します。また、十字靭
帯損傷を合併する事が多くあります
◯半月板損傷 :半月板は大腿骨と脛骨との間にあり、クッションとスタビライザーの役割をはたいます。損傷は
運動時膝のねじれで起きますが、高齢者では正座や軽度の外力でも損傷することがあります。
損傷すると膝に引っ掛かりを感じたり、ロッキングを起こし膝の曲げ伸ばしが出来なくなりす。
◯鵞足部炎 :膝の内側やや下方には縫工筋・薄筋・半腱様筋が鵞鳥の足の形のように付着します。その場所は、
骨、腱、靭帯が擦れ合う場所でもあり炎症が起きやすくなります。
◯腸脛靭帯炎 :膝外側の痛みを主訴とします。大腿骨遠位外側と腸脛靭帯との触れ合う場所で痛みが出現します。
Grasping Testや片足ホッピングで誘発されます。
◯ジャンパー膝:膝蓋靭帯炎や大腿四頭筋腱の炎症として起こりバスケットボール等のジャンプ競技で多く発みら
れます。 膝の伸展は大腿四頭筋収縮で行われますが、スポーツなどでの過度の牽引緊張により
り大腿四頭筋の抹消に位置する腱や靭帯が損傷し変性します。エコー検査では靭帯の内部に新生
血管の増生が観察されます
◯オスグッド病:大腿四頭筋は膝蓋骨を介し下腿骨の脛骨粗面に付着します。10歳〜15歳の子供多く発症
しスポーツ全般に見られますが、ジャンプ系やダッシュやキックで多く見られます。
脛骨粗面は、発赤を伴う腫脹を認め、ジャンパー膝同様にエコー検査で新生血管の増生が観察さ
れます
◯変形性関節症:高齢になると筋線維は減少しそれに伴い筋力も低下します。膝は棒と棒がつなぎ合わさった大変
不安定な関節のため、そこには大変大きな筋力を必要としています。筋力の低下した膝は不安定
となり軟骨は減少し外部に逸脱し、骨と骨は刺激し合うようになり、骨棘を形成するようになり
ます。
当院での施術
施術を施す前、大切なのは理学初見、超音波での観察により病態を把握することが大切です。その痛みが、筋肉なのか、
靭帯なのか、骨なのかそれぞれを鑑別し、冷やす、温める、固定する等を決めていきます。それと並行して行うのが運動療法です。
損傷部は、組織の修復まで安静にすることは大切ですが、その周辺の筋、関節は動かしていき、拘縮、筋萎縮を予防し早期の社会への復帰やフィールドへの復帰を可能にします。
超音波で見る膝関節

膝の内側を観察したものです
左が中枢で右が抹消となり左が大腿骨右が脛骨の長軸走査です
内側側副靱帯損傷は二層になっており超音波はその描出を可能にします

外側側副靭帯損傷の描出です
左が大腿骨、右が下腿となり、外側側副靭帯損傷は大腿骨と腓骨をむすぶ靭帯となります

三つの筋肉が一つになり脛骨の鵞足部に付着します。側副靭帯の上層にあるのが、縫工筋、薄筋、半腱様筋の集まりです

膝の外側です
腸脛靭帯は、脛骨のガーディ結節の付着し大腿骨外果で炎症を起こします

膝蓋靭帯は、膝蓋骨下端から脛骨粗面に付着します。
また、膝蓋靭帯の深層部には脂肪体が描出されます
膝関節の障害

◯内側側副靱帯損傷
膝内側からの長軸走査です
左が健側、右が患側
側副靭帯は損傷により炎症を起こし肥厚し、その深層部は無エコーと伴い炎症を起こしています

◯鵞足部炎
左が健側右が患側です
患側において、側副靭帯の浅層にある
縫工筋、薄筋、半腱様筋の複合線維は炎症を起こし肥厚しています

◯腸脛靭帯炎
左が健側、右か患側です
患側部の腸脛靭帯は肥厚しその周囲に無エコーを認めます

◯膝蓋骨骨折
膝蓋骨骨折の際、転位が大きいと整復困難となり手術する事が必要となりますが、転位の少ないものは保存療法を可能にします
超音波観察において、膝蓋骨の線状高エコーが離断している様子が分かります

◯膝蓋靭帯炎
この画像は、カラードプラーにより描出したものです
ドプラーには、カラードプラーとパワードプラーがあり、炎症による新生血管増生の描出を可能にします

オスグット病
左の画像は、子供の脛骨粗面を長軸走査にて描出したものです。
脛骨粗面は膝蓋靭帯の牽引により変性をお起こし、深層部に新生血管による炎症を観察します
変形性関節症


◯変形性関節症
エコー画像は、左右変形性関節症のものです
関節の狭小化、骨棘形成、半月板の逸脱が観察されます
物理療法、運動療法、足底からのバランステーピング療法にて、炎症、疼痛を起こした関節の消退に努めます。
〇予防と改善に向け運動をしましょう!!
